妊孕性(にんようせい)
温存療法について

妊孕性(にんようせい)とは

妊孕性は「生殖機能」とほぼ同じ意味であり、男女における妊娠に必要な臓器、配偶子、機能をいいます(表1)。

男性 女性
臓器 精巣 子宮・卵巣
配偶子 精子 卵子
機能(狭義) 勃起・射精etc 排卵・着床etc

表1 男女の妊孕性

妊孕性温存とは

妊孕性温存には2種類あります。子宮・卵巣・精巣をできるだけ残したり、骨盤神経温存によって臓器、配偶子、機能へのダメージを軽減するものが従来の妊孕性温存(fertility sparing)です。
一方、臓器、配偶子、受精卵の凍結保存は、近年の生殖医療技術の進歩によってもたらされた新しい妊孕性温存(fertility preservation)です。

がん・生殖医療とは

がん・生殖医療は、妊孕性温存そのものを意味するだけでなく、「がん患者の診断、治療および生存状態に鑑み、個々の患者の生殖能力に関わる選択肢、意思および目標に関する問題を検討する生物医学、社会科学を橋渡しする学際的な一つの医療分野」(日本がん・生殖医療学会による定義)であり、がんサポーティブケア(がん支持療法)の領域の一つとされています(図1)。
妊孕性温存療法を実施しない患者さんの心理的サポート、里親や特別養子縁組なども、がん・生殖医療です。

私たち埼玉県がん・生殖医療ネットワーク(SORNET)は、埼玉県の皆様のために、がん・生殖医療の支援、普及、啓発に取り組んでいます。

がん・生殖医療

  • 心理社会的支援
  • 周産期医療(がん患者・サバイバー)
  • 長期フォローアップ(小児など)
  • 養子・里親制度
  • 就学・就労支援etc

妊孕性温存

子宮・卵巣等の温存(Fertility Sparing)
卵子・精子等の凍結(Fertility Preservation)

図1 がん・生殖医療と妊孕性温存

がん・生殖医療に関する
解説動画

  • 1) がん治療による妊よう性低下その1
  • 2) がん治療による妊よう性低下その2
  • 3) 妊よう性温存療法の実際その1
    ―はじめに
  • 4) 妊よう性温存療法の実際その2
    ―卵子・受精卵凍結
  • 5) 妊よう性温存療法の実際その3
    ―卵巣組織凍結
  • 6) 妊よう性温存療法の実際その4
    ―GnRHアナログ製剤による卵巣保護